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アーカイブ: 2006/08/01
イスラエルを非難して中共に媚びる矛盾
- 2006.08.01 Tuesday
- Oversea
ライス国務長官の仲裁も空しく早期停戦を早々に否定し,地上戦にまで拡大しそうなイスラエルとヒズボラの戦闘(KYODO NEWS)ですが,遙か極東の我々日本人にとっては色々分からないことが多いですね。
しかし,今朝の各新聞社説(朝日,毎日,産経)を観ると,ある程度はお互い(イスラエルとヒズボラ)様との主張はあるものの,強者はいつもイスラエルで悪,弱者はヒズボラで善のような単純な二元論で批評しているところが多いですね。そんな中で,ヒズボラ側の採る戦術を批判していた産経の主張は一応,バランスのとれた考えを示していました。
各紙社説
・ レバノン危機 空爆停止では不十分だ(朝日)
・ イスラエル 世界の非難に耳を傾けよ(毎日)
・ レバノン情勢 双方が強い自制と忍耐を(産経)
イスラエルの過剰防衛は別に今に始まったことではありませんが,これは当然非難されて然るべきと思います。まぁあれだけ画面で無差別?爆撃後の悲惨な情景を写されれば痛ましい気持ちにもなります。しかし一方,ヒズボラは非常に先鋭的なテロ集団であり,イスラエル殲滅を誓う武装組織です(参考:レバノンの親イラン・シーア派民兵組織)。画面には映らないところで数多くの無垢のイスラエル市民(非戦闘員)を殺害していることを忘れてはなりません。
産経の主張に依れば(抜粋),以下であるとのこと。
ヒズボラの側にも問題が多い。今回の事態の発端をつくったのはヒズボラの側であり、拉致したイスラエル兵2人を早期解放していれば、ここまでの事態悪化はなかっただろう。
市民が犠牲になる例が多いのも、イスラエル側によればヒズボラ側にも責任がある。民兵が市民を装ったり、子供や市民がいる民家にロケット砲発射台を置いたりするという。
その「証拠映像」も公表した。市民を「人間の盾」に使っているとも非難する。
ヒズボラを軍事的、資金的、人的に支援しているイラン、シリアの責任も大きい。今回の戦闘でヒズボラの軍事力が想像以上に高いことが判明した。その背後にイスラエルの抹殺を公言するイランなどがいては、イスラエルも穏やかではあるまい。
民兵が市民(この言い方は嫌いですが)を装うとは,いわゆる便衣兵ですね。また,「人間の盾」戦術は相手の正当な戦闘行為を虐殺行為に変えてしまう,やってはいけない卑怯なやり方です。尤も,これは指揮する側が市民を強制した場合ですが,自発的行為だとすると戦争行為そのものを舐めているとも考えられます。
そして,イスラエルが硬化する最も大きな理由はやはり後ろ盾になっているイラン,シリアの存在でしょうね。彼らとしてはヒズボラを徹底的に叩いて軍事だけでなく,精神的にも優位に立って反ユダヤ勢力のプライドを削ぎたいのでしょう。
ただ,上のような悲惨な殺害行為が起こると,人道主義を前面に押し出して非難する側と戦時国際法を同様に持ち出して行為に正当性を持たせようとする側が対立することになりますが,結局のところ,勝てば官軍の世界である現実は押さえておく必要はあろうかと思います。
日本は戦争に負けたために,明白な大量虐殺行為であった原爆投下を正当化される一方で,明らかに誇張された南京事件で今でも罪を問われ続けています。流浪の民であったユダヤ民族は負けると云うことの惨めさを一番よく知る民族でしょうから,より過剰な行為に走るのでしょうが,そうした強者の論理はいつも正当化されてしまうという面では朝日や毎日の批判を理解できない訳ではありません。
一方,これをアジアの情勢に置き換えてみると,戦争状態でこそないにしても,中共は強者で弱者は日本でしょう。日本が本当に弱いというわけではありません,飽くまで立場の問題です。日本は戦後,一度たりとも他国に軍事介入したことがないのに比べ,何処かの国は相手国から観れば理不尽な戦争を何度,能動的に行ってきましたか? また核ミサイルを所有し,日米軍事同盟を理由に日本へその照準を向けているのは何処の何方ですか?(米基地のない都市にも照準を向けているらしいので日米同盟は理由にはならないですが・・・) どう観ても,中共は狡猾なる強者です。
その国を何故か?日本のメディアは殆ど批判しません。同じ強者であるイスラエルをあれだけ批判しまくるメディアがです。しかもイスラエルより侵略の色合いの濃い覇権主義をもつ国に対してです。確かに,昔は強者と弱者は逆転してましたよ,でも日本はそれに十分すぎる程の代償を少なくとも国際法的には支払っているわけです。日本の今を批判され,干渉する権利などあろうはずもありません。
それをすべて知っているはずのメディアが中共を批判しないで,イスラエルの非人道性を批判し,ヤスクニだのブンシだの言っているのは何かの冗談でしょうかね。
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