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アーカイブ: 2006/09/12
東京裁判の呪縛度から観た総裁三候補
- 2006.09.12 Tuesday
- Politics
ここのところ,ちょっと忙しくなってきまして時事ニュース等の詳細を追い切れてませんでした。
それで今日は妙に大袈裟なタイトルとは裏腹に底浅な党総裁候補討論会(9/11,日本記者クラブ)についての感想を述べてみたいと思います。
自民総裁選:安倍氏の歴史認識、論戦の焦点にも
先の大戦の歴史認識をめぐり、安倍晋三官房長官の主張が明確さを欠いている。植民地支配と侵略に「痛切な反省」と「おわびの気持ち」を表明した95年の村山(富市)首相談話には必ずしも肯定的ではないが、アジア諸国の反発を考え、発言は慎重になっている。戦争に対する評価を避けることで当面はしのぐ方針とみられるが、首相の歴史認識は外交姿勢に大きな影響を与えるだけに、総裁選の論戦で大きな焦点になりそうだ。
安倍氏は11日、日本記者クラブ主催の党総裁候補討論会で、谷垣禎一財務相から「村山談話は侵略戦争と認めているが、どう考えるか」と問われ、「歴史的に内外に発表した文章で、その精神はこれからも続いていく」と述べた。
3候補のうち谷垣氏と麻生太郎外相は中国との戦争について、それぞれ「侵略戦争だった」「侵略と言われてもやむを得ない」と明言。安倍氏は「侵略」との表現を避けており、渋々といった雰囲気が漂った。
一方で、安倍氏は「個々の歴史の事実などの分析は本来は歴史家に任せるべきだ」と強調。戦争自体の評価は歴史家に委ねるべきだとの持論も重ねて強調した。
昨年10月の官房長官就任前まで「日本は歴史問題について公式に20回以上謝罪を表明している。(過去の歴史に向き合っていないとの)中国の批判は当たらない」などと訴えてきた。7日の記者会見では「多くの国々の国民に対し、大きな被害を与えた、傷跡を残した。そうした事に対して、率直な反省の中で、平和で民主的な国を造ってきた」と述べたが、先の大戦は「過去の問題」というのが本音に近い。
また、谷垣氏が72年の日中国交正常化の際、中国側が日本の戦争指導者と一般国民の責任を分けて考えることで賠償請求を放棄したとの歴史的経緯を指摘したことについては「文書は残っていない。国交正常化は交わした文書がすべてだ。日本国民を二つの層に分けることは中国側の理解かもしれないが、日本側は皆が理解していることではない」とも訴えた。
ただ、中国が小泉純一郎首相の靖国神社参拝を問題視したのは、戦争を指導したA級戦犯が合祀(ごうし)されているから。両者を区別しない安倍氏の発言は、中国の反発を招く恐れをはらんでいる。
忙しいとは云いつつも,例の小林よしのり氏のサピオ関連話題を追っていた関係上,この毎日記事における三氏の発言の一端に,果たして東京裁判の呪縛は有るのか無いのかというのが気になりました。
サンフランシスコ(SF)平和条約,11条に関する筆者の考えを一言で述べるのは難しいのですが,敢えて言えば,単なるリンチでしかない東京裁判を日本国に公的に,そして強制的に認めさせるための楔の一種だったと思っています。
これは連合国側が決めた戦犯と称する人達を自分達の承認無しで勝手に赦免,減刑しちゃいけませんよという制約条項でしょう。だったら,今や日本には連合国の云う戦犯はいないわけですから,この11条は四回目(1955年)の戦犯釈放等に関する決議をもって用済みになっているはずです。
なお,公式(法的)には,服役中のいわゆるA級戦犯は減刑であって赦免ではなく,また刑死等の死亡者については何れの手続きも執られてはいないそうです。まぁどちらにしても国内法的には戦犯はいませんし,たとえ法的には上記措置であったとしても,これらを国民感情的に名誉回復とする解釈に筆者はもちろん異を唱える気はなく,それを支持いたします。
・ 参議院議員吉岡吉典君提出日本の戦争犯罪についての軍事裁判に関する質問に対する答弁書
・ 衆議院議員野田佳彦君提出「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書
ですから,個人的には諸判決だ,いや裁判そのものだと云う議論はどうでも良いと思っています,まぁ「一切の手続きを排除した諸判決のみを受諾した」に見なしたいという気持ちはありますが・・・。
そもそも,東京裁判は裁判としての体を為してないでしょう。事後法の遡及というおおよそ法理念を無視した訴追方法といい,見せ掛けだけの弁護人の設置といい,大川周明ではないですが,まさに皮肉を込めてコメディみたいなもんです。そんなものを否応なしに認めさせられた,でなかったら,独立できなかったわけですからね。そして,それはもう終わったわけです。
勿論,連合国の処断した罪自体は残存しているでしょう,しかし日本国から観れば,元々,罪なんてものは何の立件もされていませんし,我々がそれ自体やそれにまとわりついてくる歴史観に苛まれる必要などありません。
小林よしのり氏はこのような東京裁判に拘泥した歴史観を呪縛と捉えているのでしょう。ただ,氏がサピオで言った「講和条約11条の件でデマを流している」はやはり言い過ぎでしょうね。「11条の件」が「諸判決」を「裁判」と言い換えることを示すのなら,デマというのは間違いです。少なくとも,日本政府は公式には「裁判」と言っているわけで,一応,異なる解釈が可能なものを誤謬と呼ぶのはおかしいことになります。
「講和条約11条から派生した歴史観を打ち砕いていこう!」なら大賛成ですが・・・・多分,氏が言いたいことはそういうことなのだと好意的に解釈しておきましょう。
尤も,「11条の件」が「いつまでも戦犯がいるかのように吹聴する」とか「中・韓には11条に文句をつける権利があるかのように吹聴する」とかなら,デマ度は高くなりますがね。
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