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アーカイブ: 2008/03/08
黄砂関連備忘録
- 2008.03.08 Saturday
- Science
今年もあの鬱陶しい黄砂の季節になってまいりました。
この3日には日本列島にも広範囲に飛来して日本の大気を汚してくれたわけです。とても春霞だなんて悠長なことは言ってられませんね。
黄砂は、英語で”Asian Dust”だの”Yellow Dust”だのと呼ばれるそうですけど、個人的にはChinese Poisonous Dust(中国毒塵)、はたまた迷惑砂(メイワクサ)と呼んでやります。
冗談はさておき、この黄砂の化学特性が年々凶悪になってきていることは皆さんもご承知のことだろうし、それが中国による人為汚染によるものであることも、これまたウェルノーンなこと。
以下、備忘録的に愚考を述べてみます。ですから、あまり面白くないと思います。
まず、環境省の黄砂問題検討会報告書(H17年)から、黄砂の物理・化学的性質について述べられた箇所を、長文ですけど、一応備忘録ですので引用しておきます(第2章、2.3. 物理・化学的性状)。
2.3. 物理・化学的性状
2.3.1. 物理性状
黄砂粒子の粒径についての最も古い測定としては、1920 年に中国で降塵を顕微鏡観察した結果が残されている。また、1934 年には、中国から日本にかけての詳細な調査が行われており、これによれば、黄砂粒子の粒径は全体として0.5~0.001mm の範囲であるが、中国、韓国、日本の順に小さくなり、八重山諸島では、0.05mm 以下となったことが報告されている。この種の観測は、光学顕微鏡を使ったものであり、検出限界以下の小さい粒径のものは観測できないので、それらについて議論はできない。
浮遊している大気エアロゾルへの関心は、1970 年代から急速に高まり、様々な条件下でエアロゾルの採集が行われた。一方で、黄砂への関心もそれにつれて高まり、氷晶核あるいは凝結核としての機能を知るために、鉱物学的研究が行われるようになった。1979 年に名古屋でアンダーセンサンプラーを用いて行われた結果は、1μm 以上の大きな粒子濃度が高く、ピーク粒径は4μm であった。通常見られないこの粒径の粒子は黄砂と考えられた。この試料を、X 線回折装置により鉱物組成を調べた結果、砂塵中の石英や長石の造岩鉱物、更に雲母(イライト)、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く、いずれも直径1.0μm~30μm の粒径範囲に分布し、4μm 付近に最多直径を示す一山の粒度分布をもつということが判った。粘土鉱物が2μm 以下の土壌構成粒子中に含まれる特性をもつことを考えると、大気中の黄砂粒子は、その多くが純粋な鉱物粒子から成るのではなく、粘土鉱物の構成粒子が相互に凝集したものか、あるいは石英や長石などの粒度の粗い粒子の表面に粘土鉱物が付着した粒子から成るであろうと推定される(石坂 1991)。
中国の黄砂発生源地域であるタクラマカン砂漠でいわゆるダストフロントのダストを40μm から600μm の32 粒径クラスに分級して計測した場合、地表面で球と仮定した場合の相当粒径の平均は103μm で最頻値が70~80μm と報告されている(Yamada 他 2002)。このように、黄砂粒子あるいは鉱物・土壌粒子のサイズ分布に関する知見は極めて限られていたが、最近の活発な研究を通して、中国東部沿岸地域、韓国、日本等で多くの知見が得られている。また、静穏時ではあるが、タクラマカン砂漠上空での観測が行われ、結果が公表されている。
2.3.2. 化学性状
日本上空に飛来する黄砂粒子の鉱物組成には、主要鉱物として、石英、長石、雲母(イライト)、緑泥石、カオリナイト、方解石、石膏、カルサイト、硫酸アンモニウムなどを含んでいる。これを中国の土壌の性質と比較すると、砂漠土壌には石膏を含むものがしばしば見られることから、黄砂が砂漠土壌に由来していると考えられていた(石坂 1991)。
黄砂粒子が大気中を浮遊する間に周辺の大気中のガスと様々な反応をする可能性が、飛行機観測によって指摘されて以来(Iwasaka 他 1988)、多くの関心を集めるようになっている。表面反応は極めて複雑なプロセスであり、未解決の問題が多い。東アジアの環境に関わる物質循環に影響する可能性が指摘され、非常に初歩的な形ではあるが、このプロセスを数値モデルに取り込みシミュレーションが試みられている(Denterner 他 1996)。
また、室内実験では、湿度が大きな役割を果たしていると推察される結果が多く出されている(Mori 他 1998a)。この例として、黄砂粒子と硫酸アンモニウム粒子が湿った大気中で凝集し反応する機構が挙げられている。中国の産業活動に伴う硫黄分を含んだ排気は、硫酸アンモニウムとして大気中に浮遊する。これと、土壌起源の炭酸カルシウム(CaCO3)が反応し、石膏となる可能性が示唆されている。実験では、数日で中間生成物のコクタイトを生成し、最終的には石膏が生成された。
また、黄砂粒子表面でのSO2 ガスの直接酸化捕捉機構を調べた室内実験(Sakamoto 他 2004)では、硫酸塩生成までの過程は乾燥状態ではオゾンの関与が大きく、高湿度条件下では粒子表面の水分含量に左右されることが明らかになっている。
黄砂の飛来中に降水があると、降水のpH は7前後と高くなりアルカリ性を示す場合が多いが、これはカルシウムイオン(Ca2+)濃度の増加に因る。黄砂中の主要鉱物であるカルサイト(炭酸カルシウム)が雨水中の過剰な酸性イオン種(硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン)濃度に対応して中和反応的に溶け出したためである(鶴田 1991、Nishikawa 他 2000)。また、前述のように日本に飛来した黄砂は硫酸イオンを粒子表面に集積している。その硫酸イオンも降水に溶け出しやすく、降水中の硫酸イオン量の増加に寄与しているものと考えられている。
中国北部の表層土の土壌の化学分析を行った結果、ケイ素(Si)の他、長石や粘土鉱物に由来するアルミニウム(Al)、方解石などに由来するカルシウム(Ca)、イライトなどに由来するカリウム(K)が多く含まれるなどの特徴があった。日本各地の表層土の化学組成と比較すると、日本の表層土では、Ca 含有量が低く、特にCa/Al 比では、中国の0.6~1.3 に比較して日本では0.2 以下と低く、一般的にはCa 含有量の高いことが黄砂粒子の特徴であることを示している。
黄砂時にアンダーセンサンプラーによって粒径0.045~30.5μmの粒子状物質を採取した試料の化学成分分析の結果によれば、Ca/Al 比は、1.12 と高い値を示している。黄砂を主に形成する鉱物・土壌粒子の主成分であるNa、K、Ca、Mg、Al、Ti などはすべて粒径約4μm に極大を示し、Ca 以外は水不溶性成分が大部分を占めた。各粒径の水不溶性成分ではAl と他の主成分との間に極めて良い直線性が認められた。これは、砂漠鉱物・土壌粒子が、粒径に関わらず同じ化学組成をもっていることを示している(金森他 1991)。それに対し、土壌起源ではないと考えられるアンモニウムイオン(NH4+)、硫酸イオン(SO42-)、硝酸イオン(NO3-)などは対Al 比のばらつきが大きく、黄砂粒子が人為起源の大気汚染物質を取り込んでいることが伺われる。
以上の事例は、地上におけるエアロゾル採集に基づくものであるが、航空機や気球を使って試料の採集を試みた例がいくつかある。航空機にアンダーセンサンプラーを搭載し、試料採集を試みた例では、日本上空においては粗大粒子にNO3-がしばしば認められ、黄砂粒子に窒素化合物が沈着(Deposit あるいはUptake)した可能性が示唆されている(Mori 他 1998b)。
電子顕微鏡観察あるいはエネルギー分散型X 線(EDX)分析を目的としたインパクターを航空機に搭載した試みはかなり以前から行われており、最近では黄砂の発生源地域で得られた試料との比較が行われており、SOx の黄砂表面への沈着が、黄砂が上空を輸送されている間に生じていることを示す事例が多く出されている(Iwasaka 他 1988、Trochkine 他 2002、2003a、2003b)。
重要な箇所は赤字にしてあります。ちょっと纏めて列記してみます。
1.黄砂は大気エアロゾルであり、それは雲生成に関わる凝結核として作用する。
2.黄砂粒子は鉱物由来や人為起源の物質によって構成されている。
3.人為起源物質には燃焼由来の硫酸イオンや硝酸イオン等(大気汚染物質)が含まれている。
4.SOx、NOxなどの大気汚染物質は沈着(沈澱または取り込み)と云う形態で含有される(多孔質粒子ではないようなので、細孔吸着ではなく、通常の物理吸着と化学吸着で付着するものと思われる)。
5.黄砂粒子の表面反応は極めて複雑なプロセスで進行し、未解明の問題が多い。5.その表面反応は、大気の水分量に大きく依存する。
6.中国の産業活動に伴う硫黄分を含んだ排気は、硫酸アンモニウムとして大気中に浮遊するが、これと土壌起源の炭酸カルシウム(CaCO3)が反応し、複分解により石膏(硫酸カルシウム)となる可能性がある(複分解とはAB+CD->CB+ADを意味する)。
7.黄砂は硫酸イオン等を含む雨、いわゆる酸性雨を、黄砂主要成分中のカルシウム塩(炭カル、アルカリ性)により中和する作用がある。
8.一方、黄砂に含まれる産業活動由来の硫酸イオンも同時に雨に溶け出す。つまり、酸性雨を中和すると同時に、その雨の酸性化にも寄与するという、結局、意味のない作用をもたらしている。
簡単に云えば、黄砂の構成成分は鉱物由来、人為活動由来(海塩由来もある)の物質が混在したもので、これと大気や降雨との相互作用により、様々な生成物質が生み出されている、と云ったところでしょうか。
そして、その相互作用を引き起こす主因が、やはり中国によって吐き出されるSOx、NOxであることです。こうした大気汚染物質が本来の黄砂粒子に吸着して、日本の地表近くの大気を汚してくれるわけですね。
一方、つい最近(H19年4月)の同中間報告(黄砂実態解明調査中間報告書)では、「人為発生源由来の汚染物質を吸着したと考えられる黄砂の飛来が確認されたものの、黄砂が飛来していないときと比較して、黄砂飛来時に汚染物質濃度が高くなったとは言えないことが示されています。」なんて、まるで大気汚染物質濃度の増加に黄砂が関与しないかの如く述べられてます。
本当でしょうか。
この調査は、調査結果を「黄砂」、「弱い黄砂」、「非黄砂」に分類して、各々の物質濃度を分析しているわけですけど、”黄砂の有無による比較をしたところ、鉱物粒子由来は黄砂時に濃度が高く、弱い黄砂時、非黄砂時になるに従って低くなった。一方、燃焼由来、海塩由来の濃度は、黄砂の有無による差異はあまりなかった”ことを根拠としてます。
しかし、調査時期を観ると”平成14年度から平成17年度までの黄砂飛来シーズン(3月から5月)の22回”と書いてあります。と云うことは、非黄砂時とは云っても黄砂期間内での測定ですから、それが黄砂時のインターバルであり、かつ風量の少ない時期ならば、直前の黄砂によって運ばれた残存物質の影響を排除したとは云えないことになります。
要するに、黄砂により運ばれた物質が未だ浮遊している可能性を排除してないと云うことです。これを排除するためには、全く黄砂の発生しない時期(例えば11月~1月とか)を”非黄砂時”として測定することだろうと思います。
次に興味を引くのが、黄砂が様々な化学物質を含む特徴的な大気エアロゾルであること事からくる気象への関わりです。
上記 1.で示したように、エアロゾルは雨を降らす雲を作る元になります。
さて、ちょっとカメなんですが、先月の16日に以下の記事(和文はキャッシュ)がありました。
・China refuses to release data on yellow sand
・黄砂予報精度かすむ、国家機密と中国がデータ提供拒否
また、北大の低温研(低温科学研究所)の報告。
・有機エアロゾルの組成・分布・変質と地球環境への影響
そして、WIRED VISIONの記事。
・黄砂の甚大な被害と、「国家機密」としてデータ共有を拒否する中国
・「天候制御」で世界をリードする中国
中国が気象情報公開を国家機密として法律で規制していることは知ってましたが、最初、私は黄砂に吸着した物質により、自国の汚染状況の詳細を知られ、今以上に非難されることを嫌って禁止したものだと思ってました。
上記の低温研ニュースでも、幾つかの有機エアロゾルの特徴、とくに産業由来(都市型)の有機物が光化学反応により、ジカルボン酸(カルボキシル基(COOH)が二つある物質の総称)を生成し、それが気象、雲生成に大きく影響すること、そして、そのジカルボン酸濃度が中国の主要都市で非常に高かったことを考えると、中国の大気汚染がアジア地域の気象状況にとって深刻な問題であることが解り、機密化理由の信頼度が一層アップします。
とは云え、黄砂に含まれる有機エアロゾルの変性が誘起される気象と密接に関わるという部分で、一番下の記事の「天候制御」と云う新たな理由も無視できないのかな?と思うようになりました。
この記事によると、
「中国は、クローン、建築、それに地質工学の分野で世界の先頭に立っているが、それだけでは満足せず、天候のコントロールについても世界の他の国々を大きく引き離しつつある。」
だそうで、自国のためなら他への迷惑など一切考慮しない中国共産党の傲慢な性質が如実に表れているのだとしたら、何やら非常に不気味な様相を呈してきます。しかし、実際に北京オリンピックを前に記事にあるような気象制御をやってるのだろうか?
これはちょっとトンデモ系になりますが、こうした気象制御を上手く応用すれば、気象兵器なんてものも可能かもしれないし・・・斜め上国家北朝鮮の宗主国だけあって何をやらかすか分かったもんじゃない。
結局、結論は「アジアの邪悪な暴れん坊国家の不気味な一面を観た」ってことですね。
さすが、一党毒菜国家だこと。
いつも、芸のない〆ですいませんです。
備忘録的愚考でした。
附録:環境省にある黄砂情報までカバーする大気汚染物質広域監視システムを”そらまめ君”と呼ぶそうです。なんか、例の”何事にも前向きなソーリ”を想い出しちゃって、こりゃ駄目だわ~と思う今日この頃。
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