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アーカイブ: 2007/01/10
イスラエルの戦術核使用計画に怯える?北朝鮮
- 2007.01.10 Wednesday
- Oversea
本タイトルの「怯える」は北朝鮮が間接的に感ずる危機感のことです。
もうご存じでしょうが、国連決議にもめげず平和利用と称して核開発を止めないイランに危機感を強めたイスラエルが、何と戦術核レベルの弾頭を付けた地下貫通型爆弾の使用(作戦)計画を作成したとのニュースがありました。
イラン空爆計画? イスラエルが核開発に反発と英紙
イランの核開発に反発するイスラエルがイランの核関連施設を空爆する計画を練っていると7日付の英日曜紙サンデー・タイムズがイスラエル軍筋の話として伝えた。小型の核爆弾の使用も想定し、すでに空軍兵士らが訓練を始めたという。ただ、米国が認めるとは考えられずイランの反撃も必至で、実際に空爆に踏み切るかは疑問との見方も同時に伝えた。
同紙によると、イスラエルの空爆対象は、ウラン濃縮を進めているイラン中部ナタンツの核関連施設と、ウラン転換作業を行っている同イスファハンの核技術センター、プルトニウムの製造につながる西部アラクの重水炉施設-の計3カ所。これらを破壊すれば、イランの核開発は不可能になるとみられている。
地下施設の場合、通常のレーザー誘導弾で地表から穴を掘るようにして徐々に施設に迫り、それで破壊できないときは小型の核爆弾を使用する計画という。地下での爆発になるため、放射能の拡散は抑えられるとして空軍の兵士らが小型の核爆弾の投下に備えた訓練をイスラエル国内の砂漠地帯で行っている。
戦闘機の操縦士らはこの数週間、英領ジブラルタルまで飛行してイラン国内の標的を想定した飛行訓練を行い、すでにトルコ上空を通過する場合などの3つの飛行ルートを確定したとされる。
イスラエルは1981年にイラクの核施設を空爆したことがある。
何しろ自衛と称して何でもアリのイスラエルのことですから実在する計画なのでしょう。これには可成り可能性の高い根拠があります。
一つは上記にもあるように、実際にイラクの核施設を空爆していること、あと一つは、一年半ほど前にアメリカがイスラエルに地下貫通弾を売却していることです。
米、イスラエルに地下貫通弾100発を売却へ
【ワシントン=伊藤俊行】ロイター通信によると、米国防総省は26日、議会に対し、イスラエルに100発の地下貫通弾(バンカーバスター)を売却する計画を通知した。
地下貫通弾はイラク戦争でも使用された、地中深くの施設を破壊する特殊爆弾で、地下貫通弾を取得することにより、イスラエルがイランの核施設に対する先制攻撃の準備を進めているのではないかとの見方も浮上している。売却価格は約3000万ドル。
地下貫通弾の導入をめぐっては、昨年6月、イスラエルが米国から、500発の地下貫通弾を含む計5000発の精密誘導弾を購入するとの総額3億1900万ドルの契約に署名した。
イスラエルは公式にはイランへの攻撃を否定しているが、1981年にはイラクの核施設を空爆したことがある。
(読売新聞 2005/04/27、ソース消滅)
ただし、これは通常弾頭であって核弾頭装着型ではありません。
通常の地下貫通型爆弾(バンカーバスター)は約6mの強化コンクリート若しくは約30mの固化粘度土壌を貫通してその内部を破壊できる能力を持つそうですが、核弾頭型の場合(地中貫通核爆弾)は貫通力は多少、前者を下回るものの、戦術核レベルの威力(0.3~数キロトン)でもって対象を完全に破壊できます。産経新聞紙上の記事では1キロトン程度だと書いてありました。
アメリカはこの技術もイスラエルに供与したのか、はたまた自国で開発したのかは定かではありませんが、十分に現実味のある話しです。
筆者は核兵器が抑止力兵器としてのみ存在することを容認できますが、爆発力を最小限に抑えた戦術核の出現は使用決意の活性化エネルギーを随分と下げてしまうだけに困りものです。
地中に潜る戦術核とは云っても、核爆発による火球を大気に曝さないための深度には到底及びませんので周辺環境への被害は甚大です。しかも対象物が核施設なだけに余計に使って欲しくない兵器です。
しかしながら、イスラエルなら本当に使いかねず、いつ史上3回目の実戦での核爆発が起きてしまってもおかしくないだけに心配ですね。
さて、北朝鮮にある核施設や軍事基地は地下にあると云われております。
もしこれを破壊しようとするのならば、その当事国であるアメリカにとって、最低でも通常型のバンカーバスターの使用は必須になることでしょう。
ただ、険しい山岳地形と云う自然の装甲に守られた地下施設を破壊することは容易ではないこと、中・朝国境すれすれにあると云われる施設の位置的難条件が加わって、その使用は更に躊躇われることでしょうね。
ですから、対北に限っては核弾頭型は勿論のこと、通常のバンカーバスターでさえ現実的には使用不能ですから、金正日は消極的ながら高を括っていることでしょう。
まぁしかし、実際にイスラエルがイランを核攻撃したら、いや上記のような計画が発覚したことに対してでも、間違いなく危機感自体は抱いているはずです。それに、ミサイル発射基地には常に精密誘導弾(巡航ミサイル)による攻撃が待ち構えているという現実もありますから、高イビキをかくわけにはいかないと云う状況です。
従って、金正日には、米軍は場合によっては核も排除しない軍事攻撃を辞さない覚悟であると心底思わせることが肝要なのですが、今のところ難しいでしょうね。
何しろ、それを一番要請できる立場にあるはずの日本ときたら、わが国には大凡(おおよそ)似合わないアメリカ型労働形態(ホワイトカラー・エグゼンプションでしたっけ?)なんぞを導入するのに躍起になっている程度のお寒い状況ですからね。日本に一番要らぬものの導入に必死になって、要るものを要求してやらないでどうするの?、新自由主義なんてものを猿真似する必要なんかありません!
如何にしたら金正日をなるべくマイルドに排除できるのかを考えようともせずに、未だに生温い制裁でお茶を濁しているようでは情けない限りです。
山拓のやらかすことも非常に懸念されますしね。
本当は米軍の力を借りずとも、瀬戸様の仰るように自衛隊の敵地攻撃能力を進歩させれば済む話しなんですよね。
少なくとも、自衛のための限定空爆を行う能力と北崩壊時における自衛隊の敵地展開(救助行動)能力だけは早急に実現できるような法整備を急いで欲しいものです。
参照URL:
・ 不拡散揺るがす「小型核」(朝日新聞2003年6月10日)
・ 朝鮮半島「火薬庫」の真相
・ 2004年9月に大爆発が起きたとされる両江道・金亨稷郡とは?
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