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アーカイブ: 2006/12/23
辛い結論となった「百人斬り」訴訟、上告棄却
- 2006.12.23 Saturday
- SocialProblem
おめでたき天長節にこのようなことを書くのは心が退けるのですが、以下は以前のエントリー(辛い結果だった「百人斬り」訴訟の高裁判決)の続編となります。非常に残念な結論(上告棄却)でした。
・ 「百人斬り」訴訟:遺族の上告棄却 最高裁
・ 旧日本軍の「百人斬り」めぐる訴訟 本社などの勝訴確定
これらのニュースを見た後、その感想を述べようと思っていた矢先に件のエントリーにコメントを頂戴しました。wikiにある「百人斬りを否定する根拠」を否定する根拠を示して「日本刀で100人以上の中国人を斬殺」を肯定したい方のようです。
この訴訟でもその有無を有耶無耶にした百人斬りを、ネガ系の方特有の事象推定(史観)で肯定されても、筆者としては「そのようなご意見があることはお伺いしておきます」と何処かのお客様対応室のような回答しかできません。
明白な虚偽を除いて、多様な解釈が出来ることに対して否定的、肯定的見解を述べても際限のない堂々巡り議論を招き易く、最終的にどちらかの優越感だけを満足させる行為となることは疲れるだけです。
筆者にはそんな重箱論争をやる暇はありませんので悪しからず。ご感想はご自由にお持ちになって結構です。
さて、裁判所(一、二審)側は百人斬りの有無やその内容(据えもの斬り云々)に関して明確な事実判断をしておりません。裁判所側が明確な史学判断から逃げた感もしないではありませんが、「具体的内容には虚偽、誇張が含まれている可能性がないとは言えないが、競争自体を記者の創作と認めることは困難」と下したところからも「疑わしきは罰せず」の原則を最高裁は支持したのでしょう。
最高裁としての選択肢は上記か、それとも名誉毀損が成立しない要件を満たし足りてないとして高裁に差し戻すしかなかったわけです。
残念なことですが、遺族側が東京日日(現毎日)浅海記者の記事や被告側の出してきた志々目、望月両証言を明確に否定する証拠を出せなかったことから、最高裁が後者を選択する可能性は非常に低かった、つまり今回の判断は、司法側から観て妥当だったと云うことです。
これは件のエントリーでも予想しておりました。
このブログのコメント欄で観たのですが、例え野田・向井両少尉の発言が事実だったとしても、それが明らかに虚偽であると浅海記者が承知していて(戦意高揚)記事を書いた場合には名誉毀損が成立すると云う意見がありました。
以下にその方のコメントを引用します。
「事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実だと誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、故意がなく、名誉毀損罪には該当しない」とされている(昭和44年6月25日最高裁)。
これにあてはまると考えられる場合違法性が阻却されるのです。ということははじめからホラだとわかっていた場合は名誉毀損罪に問われる余地があるのです。
名誉毀損に該当しないのは、浅海記者が両少尉の発言を本気で信じていたとされるだけの相当理由があるときに限定されると云うことでしょう。非常に納得できるご意見だと思います。
遺族側弁護団は、この相当理由を棄却出来るだけの証拠が出せなかったとも云えます。
また、南京攻略戦にカメラマン(東京日日)として従軍した佐藤振壽氏の証言(歴史認識を覆す佐藤振壽氏の証言)にもあるように、浅海記者が東京裁判に出廷したときに「記事は虚偽である」と言ってくれなかったことが本当に悔やまれます。
尤も、この佐藤氏は「両少尉はこれから(つまり常州から)百人斬り競争を始めると話していた。」とも証言しており、皮肉にも両少尉の発言自体は真実であるとの証拠の一つが出されてしまっています。真に諸刃の剣です。
とにかく、この訴訟に当たった遺族側弁護団の戦術ミスが最後まで尾を引く形となったのが痛かったです。筆者は法律のド素人ですから有意な策を出せる訳ではありませんが、何とか別な形で再訴訟を起こすとか出来ないものか?と思います。
非常に見事な辞世の句を残され、雨花台に露と消えた野田・向井両少尉の無念を晴らす手立ては本当にもう無いのでしょうか。
こんなニュースもあります。
慰安婦検証で小委員会を設置
自民党の有志議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)は22日、従軍慰安婦問題を研究する小委員会を設置した。
有識者を交えて事実関係を検証。慰安婦募集への旧日本軍などの関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話の見直しも視野に提言をまとめる。同会は97年に安倍晋三首相らが中心となって設立した。
是非とも、あの忌々しい河野談話を見直して欲しいですね。
もはや、戦後に形成された虚構類は個人の力ではどうすることも出来ないのかもしれません。南京事件もそれに付随するこの”いわゆる百人斬り”事件も、政府レベルが主体となって虚構部分を一枚一枚剥ぎ取っていくしかないような気がします。
その時、初めて、こうした訴訟の勝機が訪れるのかもしれません。
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