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アーカイブ: 2006/09/03

特別掃海隊戦死者-合祀基準問題


最近,滅多に見ることのなくなった金曜版NEWS23を偶々見たら,朝鮮戦争時の特別掃海隊犠牲者(戦死者)の靖国合祀問題について特集してました。
朝鮮戦争が勃発したのは1950年ですが,その年,米軍の要請により秘密裏に海保の機雷掃海艇が半島に向けて出動した時,北朝鮮元山沖で触雷,乗組員だった中谷坂太郎氏が殉職されました(特別掃海隊についてはここに詳細があります)。番組には坂谷氏のお兄さんの藤市氏がビデオ出演されていました。

今更,NEWS23が何故,このケースを報道したのかは,拙考をお読みの方なら重々承知しておられるでしょうから,それに触れることはしません。
この問題は今後の靖国神社のあり方にも大きく関連しますので少し愚考を述べてみたいと思います。

四つ前のエントリーに”鎮霊社に纏わる分祀・分遷論”というエントリーを挙げましたが,そこで「週間アカシックレコード」を参照して先細りしていく靖国の将来を案じました。アカシックさんでも論じていた靖国の財政問題を回避する策の一つとして,”自衛隊員殉職者の合祀”は心情面から云っても賛同できるものです。亡くなった中谷氏は海保隊員ですが,自衛隊員に準ずるとして同カテゴリーに分類しても問題はないでしょう。

しかしながら,靖国神社の合祀基準は変遷はあるものの非常に厳格です。「陛下のために国難に殉じた日本国民」の一点です。
おそらく,靖国側の判断は朝鮮戦争時における行動について,「占領下での米軍の要請」という点に難色を示したものであると考えます。実際の回答は「太平洋戦争(大東亜戦争)までの戦死者に限る」だったそうです。多分,前者を換言したものと考えますが,これでは言葉足らずでしょうね。
これはSF講和条約締結(1951年)をもって戦争終結とする定義に反しますので,この言葉だけでは,いわゆるA級戦犯の方々の合祀にも整合性がなくなってしまいます。もう少し,熟考した回答を靖国側は用意した方が良かったのではと思います。
余談ですが,先のNHK終戦特集で「A級戦犯の刑死は終戦後だから戦死とは云えないのでは?」と質問した評論家の保阪正康氏が,答えた所功教授の「いいえ,戦死です,講和前(占領中)は戦争状態であるとSF条約に書いてあります。」の一言で撃沈したのが非常に痛快でした。

翻って,中谷氏側から観れば,「国にために亡くなったのだから」という理由にも十分な妥当性があると思います。たとえ,占領下の米軍の要請であろうと直接には国の命令で極秘任務に就かれた中谷氏の心情を察すれば,このように解釈することは至極当然でしょう。

靖国側の論理(理由説明は拙いが)と中谷氏側の論理の双方に妥当性があるので,これは非常に難しい問題であることは確かです。
靖国側も心情的には,おそらく合祀してあげたいのは山々でしょうね。でもそれを認めてしまうと他の問題が雪崩のように襲いかかってくる,例えば,「靖国に勝手に合祀されたのを取り消せ」とか「他の殉職者(PKO活動中に亡くなった方や警察官)を自動的に合祀しなければならなくなる」等の問題です。
これらは後者を除いて本問題とは多少フェーズの異なる話しですが,文句を言ってくる人達にとっては関係ありません。とにかく,靖国反対論者にとっては「蟻の一穴」が欲しいわけですから。こうした複雑な問題があって靖国側も判断したのだとは思います。

考え方を変えて靖国の将来を考えれば,筆者としては許容範囲の拡大も考慮しなければならない時が来たのかなと思います。財政問題を鑑みても,将来は靖国側も国家護持を望んでいるように見受けられます。筆者は現状での国家護持には反対ですが,靖国の尊厳を決して汚さない形での国家護持でしたら賛成します。先に靖国神社は,国家護持のために譲れない三点を発表しました(毎日記事,今はリンク切れ)。松平元宮司もこれより前に,以下のように三点を述べています(「誰が御霊(みたま)を汚したのか」より)。

1.まず,日本の伝統の神道による祭式で御霊をお慰めする。これが一つです。
2.第二に,神社のたたずまいを絶対に変えない。
3.第三に,社名を変えない。

前者の現靖国の発表もこれとまったく同義でした。つまり,その中には合祀基準のことは書いてありません。
国家護持を睨んだ戦略という意味においては,靖国神社も上のような合祀基準の弾力的解釈もその範疇に入れた方が国家護持後の議論(国会等)もやり易くなるのではないかと思います。皆様はどうお考えでしょうか。

(参考URL)

海保戦死者合祀問題(大石英司の代替空港)
「戦後の戦争~遺族にとっての靖国合祀~」
特別掃海隊 非軍人1200人を動員
中谷坂太郎(檀君 WHO's WHO) 



↑合祀基準の弾力的解釈に賛成の方はクリックをお願い致します

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